京都地方裁判所 昭和52年(わ)1466号 判決
一 本店の所在地
京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町一番地
法人の名称
有限会社琴きき茶屋
代表者の住居
京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町一番地
高田駿太郎
二 本籍
京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町一番地
住店
京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町一番地
会社役員
高田駿太郎
大正七年六月二四日生
法人税法違反被告事件
検察官
津村壽幸出席
主文
被告人有限会社琴きき茶屋を罰金五〇〇万円に、被告人高田駿太郎を懲役六月に処する。
被告人高田に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社琴きき茶屋は、京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町一番地に本店を置き、軽飲食業及び土産物の小売販売業を営むもの、被告人高田駿太郎は右会社の代表取締役で、その業務全般を統轄しているものであるが、被告人高田駿太郎は右会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 昭和四八年一〇月一日から同四九年九月三〇日までの事業年度における右会社の所得金額は二、〇八一万二、九七〇円で、これに対する法人税額は七六〇万四、八〇〇円であつたのに、公表経理上、売上の一部を除外するなどして所得を秘匿した上、同年一一月三〇日同市右京区西院花田町一〇番地の一所在の右京税務署において、同税務署長に対し、所得金額は、三四七万八、〇二四円の欠損で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右事業年度の法人税額七六〇万四、八〇〇円を免れ、
第二 昭和四九年一〇月一日から同五〇年九月三〇日までの事業年度における右会社の所得金額は二、五五一万九、五二九円で、これに対する法人税額は九三六万七、六〇〇円であつたのに、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、法人税の確定申告期限である同年一一月三〇日までに前記右京税務署長に対し、法定の確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もつて、不正の行為により、右事業年度の法人税額九三六万七、六〇〇円を免れ、
第三 昭和五〇年一〇月一日から同五一年九月三〇日までの事業年度における右会社の所得金額は二、七二八万〇、八一七円で、これに対する法人税額は一、〇〇六万九、〇〇〇円であつたのに、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同年一一月三〇日、前記右京税務署において、同税務署長に対し、所得金額は繰越欠損金一八一万四、一九三円を控除したため零となり、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、右事業年度の法人税額一、〇〇六万九、〇〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
略語
大=大蔵事務官に対する質問てん末書
検=検察官(同事務取扱を含む)に対する供述調書
一 登記官作成の法人登記簿謄本
一 大蔵事務官作成の証明書(検四号)および脱税額計算書(検七号)(第一事実につき)
一 同官作成の証明書(検五号)および脱税額計算書(検八号)(第二事実につき)
一 同官作成の証明書(検六号)および脱税額計算書(検九号)(第三事実につき)
一 同官作成の証明書(検一〇号)
一 同官作成の査察官調査書二通(検一一号、一二号)
一 豊任正雄(二通)および藤原清作成の各確認書
一 竹花恵美子の大三通および検
一 野路井孝の大四通および検
一 押収にかかる売上仕入帳三綴〔昭和五四年押二四号の一(第一事実につき)、二(第二事実につき)、三(第三事実につき)〕
一 収支日報写(検四八号)(第三事実につき)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(検三〇号)
一 野村英男作成の確認書および同人ら作成の確認書(検三一号、三二号)
一 大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高確認書および現金預金有価証券等現在高検査てん末書
一 酒井守也作成の確認書
一 谷口厚一、大久保征雄の各大
一 大蔵事務官作成の査察官調査書二通(検三八号、三九号)
一 被告人の大六通および検
一 被告人の当公判廷における供述
(法令の適用)
一 被告人会社につき
1 判示各事実 法人税法一六四条一項、一五九条一項
2 併合罪加重 刑法四五条前段、四八条二項
二 被告人高田につき
1 判示各事実 法人税法一五九条一項(各懲役刑選択)
2 併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条
3 刑の執行猶予 刑法二五条一項
(裁判官 吉田治正)